機能性低血糖症
機能性低血糖症とは?
機能性低血糖症とは、精神症状や自律神経症状を伴う血糖調節異常のことです。
機能性低血糖症の症状はとても多様です。
- ・食直後または数時間後の耐えがたい眠気
・イライラ感・爆発的な怒り - ・動悸や冷や汗・息苦しさなどの身体症状
・不安感や気分の落ち込み - ・眼のチカチカや頭痛
・不眠・朝起きられない・だるい
思考力の低下や記憶力の低下も多く見られる症状の一つです。
機能性低血糖症の背景には、糖質の過剰摂取、食物繊維の不足による腸内環境の悪化などが原因と考えられています。
白米、白いパン、麺類、甘いお菓子、清涼飲料水などの精製された糖質は吸収が早いため、急速に血糖値が上がります。そうすると、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急激に下がります。このとき、眠気や集中力の低下、疲労感、頭痛、手の震えなどの症状が起きてきます。
そして、今度は下がった血糖値を上げるために血糖値を上げるホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、イライラ、恐怖感、不安感、抑うつ感などが起こり、人によっては攻撃的になることもあります。
このとき、ストレスを感じストレス解消のために甘い物を食べたり、甘い飲み物を飲んだりすると再び血糖値のアップダウンが起こり、機能性低血糖症の症状が繰り返されていきます。
機能性低血糖症の治療は、主に食事療法が中心となります。食物繊維を増やし、低糖質・高タンパク質な食事を心がけることが重要となります。また、血糖値を上げない脂質を上手に使うことも重要です。
機能性低血糖症を『確定診断』するためには5時間糖負荷試験
『5時間糖負荷試験』とは、からだに一定の量の糖質をあえて与え、決められた時間ごとに数回の採血と体温測定を行い、血糖値、インスリン、体温の変動を調べる検査のことをいいます。
糖尿病の診断のための糖負荷試験は2時間かかる試験であるのに対し、機能性低血糖症の診断のための試験は5時間かけてデータの変動をみていきます。
検査した結果データをグラフにして見てみると、機能性低血糖症の方の結果は正常な方と比べると特徴的なパターンであることがわかります。
そのパターンは数種類ありますが、それに当てはまるかどうか、血糖値やインスリンが正しく上昇・下降しているのか、検査結果から根拠を得て確定診断に至ります。
日常的な機能性低血糖症の程度を知るには
24時間グルコースモニタリング検査
当クリニックでは『リブレプロ』というセンサーを上腕の皮膚表面に貼り付け、グルコースの日内変動を2週間記録します。
同時に食事内容の記録も行うことで、食事によるグルコース値の変動や体調不良の有無にも着目し、今後の治療につなげることができます。
比較的侵襲が少ない検査ですので、当クリニックではお子様からご高齢の方々までたくさんの患者さまが検査を受けられております。
機能性低血糖症の原因とはなにか?
機能性低血糖症の原因には、いくつかの要素があります。
・ 糖分の過剰摂取(特に砂糖に代表される低分子のブドウ糖)による膵臓機能の破綻
・ アルコールの多飲 ・ カフェインの過剰摂取 ・ 腸内細菌叢のアンバランス ・ 不規則な食事 ・ ストレス
血糖調整異常の主なパターン
❶ 腸の粘膜がうすい、または隙間がある・・・血糖値が急激に上昇する。
❷ 血糖調節に必要なビタミンやミネラルの欠乏・・・インスリンの分泌反応が遅い、ちぐはぐである。
❸ インスリン以外のホルモンの異常・・・特に影響が強いのは副腎の働きの低下です。
副腎の働きが低下していると血糖値や血圧の維持が困難になります。
原因によって治療法が変わります。またこれらの要因を改善せず再び糖質を摂り始めれば症状が再燃してしまいます。根本原因を知り改善することが必要です。
治療について
治療においては、食事療法が中心となります。
血糖を乱高下を起こさず脳にも身体にもエネルギーが回るような食事内容、食事の摂り方、不十分な栄養素の補給など医師、栄養士が個人に合わせて指導にあたります。
また低血糖症状の緩和目的、栄養状態や機能性低血糖症の原因を改善する目的でサプリメントをご提案することもあります。
※他院通院中の方は、できる限り、現在の処方内容や常用薬の記載のあるものをお持ちください。
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